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国立国会図書館はお気づきでしょうか?

2014年03月17日 · コメント(8) · 未分類

 

過日、弊社の店頭にお客様がお見えになり、お爺さまの本の買い取りを依頼されました。みると明治期の本で内容も面白そう。状態も明治期の本としては装丁が多少傷んでいる程度で、印刷や紙の状態も100年経ったものでは仕方がないと言うものでした。しかし、その時国立国会図書館の近代デジタル・ライブラリーの事が頭をよぎり、お客様にそのサービスについて説明し、安く買うことはお客様に失礼であることも説明しました。

翌日、そのお客様より電話があり、下記の2冊とも近代デジタル・ライブラリーで全ページ閲覧出来ることを知らされました。買わなくて良かったと思うと同時に、今まで大切に保存していた書物を適正な価格で売ることが出来なくなっている現状を痛切に感じました。同時に我々もより高く買い入れて売る機会を失っている状態に憤りを感じました。

 

Gakkai01   Gakkai02

Chiri01  Chiri02

 

「学海探求之指針」 明治21年3月刊行 海軍水路部編

12,519,4p 6図付 発行書肆:松井忠兵衛

英国海軍本部 准男爵 ヘルセル氏編 “The admiralty manual of scientific inquiry”の

訳本で海軍士官必携で十五科を網羅している書

「地理論略」 翻刻 文部省印行 明治12年8月初版 明治16年刊 翻刻人:丸家善七

米国ウアルレン著:Physical geography 荒井郁之助訳述

4,436p. 図多数、2plates、巻末に地図六葉(その内5葉は彩色)

確かに、著作権の切れた書物は公共財という意味合いを持つと思いますし、その内容を国民に提供するのは公費を使った国立国会図書館の役目だと思います。それによって少しでも知識の攪拌に役立てるのであれば非常に理にかなった制度だと思います。しかし極々零細とは言え全国には古書を扱っている書店が2000軒以上あり、それを束ねる全国組織として組合もあります。更に、630万点以上を提供している「日本の古本屋」という古書販売データベースも持っております。

時たま新聞を賑わしている「古書が見つかった」という記事も、その半分以上は古書店からの情報だと思います。もし、古書価格が低迷し高く買い取ることができなくなれば、その様な発見の確率も下がり、古書店の目を通らずに原紙材料へ直行という憂き目を見るのは明らかだと思います。

確かに、書物のデジタル化への流れは止まる所を知らず進んで来ております。此処で、本が良いのかデジタルで充分なのかの判断をしたくはありません。おのずと利用者がその判断をされるだろうと思います。それ故に、そのご判断をされる機会を是非とも「近代デジタル・ライブリー」のホームページの中に設けて頂きたいと切に希望して止みません。デジタルを選ばれるか、あるいは本を選ばれるかは利用者のご判断に委ねたいと思います。つまり、国立国会図書館・近代デジタル・ライブラリーのホームページに「日本の古本屋」へのリンクを貼って頂きたいのであります。

そうすることによって、今までデジタル・ライブラリーで閲覧可能な書物でも、お客様から少しでも高く購入することが出来、古書籍の流通の一助になると確信致しております。

更に、今年度から国立国会図書館が運営をはじめられた著作権の消滅した図書60-70万冊の指定図書館へのデジタル配信にも同じ事が言えると思います。時代の流れに竿をさそうとは思いませんが、少なくとも利用者がどちらかを選べる装置を備えて頂くことを切に、切に希望します。想像になりますが、その為のソフトの変更や修正はそれ程金額のかかる作業では無いと思いますが、如何でしょうか。図書を取り扱う仲間として見て頂ければ幸いです。

小沼良成

2014年3月17日

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コメント(8)

  • 堤 宗男

    なるほど、そういう問題もあるなと感じました。
    私個人としては遠い図書館や東京まで出て行かなくてもネットで見られることはメリットもあるし、歴史研究の進歩に役立っていることは確実です。それでも欲しい本は欲しい。古書を買うと飲み代が消えていきます。

  • 図書館界の片隅の住人

    図書館側は「特定企業の商売に肩入れするようなことを公共機関がやっていいのか」という批判を恐れているので、声が大きくならないと難しいと思いますよ
    少なくともブログで書くより、古書団体から正式に申し入れるとかでないと

  • 古本好き

    古本には、資料としての価値だけでなくリアルなモノとしての価値もあるので、デジタル化されたからといって安くしなくてもいいように思います。
    ただ、「日本の古本屋」を多くの人に知ってもらえるよう頑張るのは、図書館の仕事ではなく、古本屋さんの仕事なので、リンク貼ってくれというのはちょっと違うんじゃないかなと思いました。

  • 古書店店主

    要約すると「商売を邪魔するな 俺のために動け」ということですよね。
    近代デジタルライブラリーによって売り上げが落ちたのなら、それ自体が利用者の判断の現れと思います。
    商売を続けたいなら本自体に価値を感じるコレクター向けに売り方を変えればいいだけです。
    情報発信が必要ならそれも自らがやるべきことです。
    文句を言いたくなる気持ちは解らなくもありませんが、変化に追ていけなくなったことを他人の所為にしてるならそれは筋違いです。
    寄生虫のような発言は同業を営む者として恥ずかしいです。
    風俗業界でも見習ったらどうでしょうか。

    • 小沼良成

      古書店店主 様
      ご意見はある意味理解できますが,大事な部分が欠落しているように思います。
      見習うべき風俗営業で国営はあるのでしょうか? もしあるのでしたらお教え下さい。
      確かにデジタルによる知識の攪拌は必要だと思います。しかし、官の民業圧迫という
      事情はどうでしょうか? 民が同じような条件でするなら、つまり有料でされるのなら、
      ご意見は正当と思います。条件が違いすぎる基で、寄生虫のようにとは心外でした。

      小生は決して変化に追いつけないでの意見では無いと確信致しております。
      条件が違い過ぎている事に抗議を致しております。良くお読み頂ければ、短絡的に
      「商売を邪魔するな 俺のために動け」とは言ってません事をご理解頂けることと思います。

      平等な社会は夢物語かも知れませんが、不平等を官が率先してする事には異議を申し立て
      るべきと信じております。

  • 自己矛盾

    買わなくてよかった?たとえ安い値段でも買いとっておいて流通させることが「古書店の目を通らずに原紙材料へ直行という憂き目を見る」ことを避ける道だったのではないですか?昔のように暴利を貪れなくなったことをダダこねてるだけにしか読めません。

  • 小形克宏

    現物とデジタルデータはまったくの別物です。そして現物以上に価値があるものなど、あるわけがありません。文生書院さんも商売人なら「今国会図書館のDBで話題の◎△の現物が、たったこれだけのお値段であなたのものに‼」等と宣伝にこれつとめればよろしいでしょう。お上の施策で「適正価格」(笑)がどうのこうのというのは、どこぞの評論家にでもまかせればよろしいのでは?

  • 気づいているみたいですね。

    こんばんは。

    国立国会図書館サーチという検索サイトから、
    デジタル化の”有無に関係なく”、
    検索結果詳細から「日本の古本屋」へのリンクがされていますね。
    http://iss.ndl.go.jp/information/function/benri/tsukaikata02/

    また、デジタルコレクションを配信した外部の図書館で見る際には、
    既に「日本の古本屋」直接リンクが出てくるようになっているようです。

    ※このURLに詳しく書かれています。
    http://hendensha.com/?p=1962
    『「古書店データベースを探す」とどんぴしゃりで古書店誘導でした。』だそうです。

    こういった処置をしているというのは、
    国会図書館が、出版業界や古書店業界への配慮をしているという表れではないでしょうか?

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