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布哇(ハワイ)貴重資料解説(20) 『布哇日本人年鑑 第十三回』

2012年12月22日 · コメント(0) · 古書, 復刻版

英文書名:Annual Directory of Japanese in Hawaii, 13th Edition (1916)

[布哇新報社 編]

本書本回は口絵に新任の駐米大使佐藤愛麿等々の名士肖像写真を掲げ、次いで在布同胞人物紹介を試みた。本文記事も多岐に亘り項目建ても細かい。巻末の附録は「在布日本人々名録」で嶋別の各地地名のABC順にまとめ、不十分ながらも索引機能を果しめた。各人の住所表示は無いが職業と出身県名を摘出しているので面白い〔約220頁〕。

ついでにハワイの新聞および雑誌などを見てみよう。『布哇新報』(ホノルル一帯・本書の出版社・朝刊8頁・社長鶴嶋半蔵・主筆木村芳五郎・現行邦字新聞中で最古・既に6千数百号に達す)『日布時事』『布哇報知』『太平洋新聞』『ホノルル商報』『実業之布哇』『衛生時報』『オアフ時報』『布哇商業時報』『家庭雑誌』『交差点』『洋島』『布哇年鑑』『布哇日本人年鑑』等々(詳細は353頁参照)。

本書にも広告が多く、それらは青紙の部(30余件)、赤紙の部(約40件)、黄紙の部(約20件)、特別の部(約20件)と4区分されている。今回の復刻版においては、用紙を区別することなく本文 本体の用紙に統一した点、お断りしておきたい。

『ハワイ年鑑』と『日米年鑑』点描『ハワイ年鑑』(日系移民資料集 第IV期)は2008 年から2010年にかけて日本図書センターが復刻した全14巻セットである。原書の正式書名は『日布時事布哇年鑑並に人名住所録』(Hawaiian Japanese Annual & Directory・米国連邦政府登録済出版物)といい、昭和年2年(1927年度版)より昭和16年(1941年度版)までホノルルの日布時事社によって編纂・印刷。発行されたもので、内容的には日布交流有史以来昭和改元までを初巻(復刻版第1巻)とし、1940年10月ころまでの記事・情報を1941年版(復刻版14巻)とした。この間、編集方針と内容要目はかなり一貫性を保ち、附録の「布哇日本人人名住所録」(Japanese Directory of Hawaii)も(副)題名に変更はなかった。 

私の関心事からみて一つだけ情報を紹介しておこうと思う。昭和の初め既にホノルルには(ハワイ)日本人大学倶楽部が組織されていた。これはハワイおよび米本土の大学を卒業した日本人の組織で、会員数は約50名であった。陣容を覗くと、顧問格に原田助(布哇大学教授)・毛利伊賀(医学博士・医院経営)、会長築山長松(弁護士)、副会長中川清(医学博士)、書記以下の人物に時政英道・山口七郎・山県太助・中田由松・河地健助・藤本義一の名を確認できる。

このうち、原田助が77歳で1940年2月に京都にて亡くなられている。(本年鑑「冥友録」欄より)。 『日布時事』の創刊は明治28年10月に遡る。もっともその初期の紙名は『やまと新聞』といい、石版刷小形4頁の週2回刊紙であった。明治23年に活版印刷となり、間もなく日刊夕刊紙となっている。明治39年に相賀安太郎が社長兼主筆となり、同年11月『日布時事』と改題した。大正8年(1919)より英文欄を新設、はじめは1頁、後に4頁まで拡大した。

ハワイで最古級・最大紙に発展し、1940年代初頭には本紙のほか、上記年鑑や公認の『日本人電話帳』(年2回)を発行していた。その後、日米開戦となり、ハワイ日本人社会のメディア界の事態は一変した。 上記年鑑に匹敵する米本土の同類年鑑に『日米年鑑』(サンフランシスコ・日米新聞社・第1<明治38年1月1日発行>から4号<明治41年>まで『在米日本人年鑑』・英文書名ナシ・附在米日本人住所姓名録)があり、第12号(大正7年・産業号)まで刊行されている。

幾多の理由があって、内容と体裁の面で特に進歩・進化は見られなかった。例えば、初刊号の住所録でシカゴ地区は1件しか記入が見られないし、最終号ではかなり出版が遅れ、内容も1918年6月で原稿を打ち切っている。とは云え、本年鑑の資料価値そのものは、大いに記録に残るものと云わねばならない。

この一連の年鑑も、『日米年鑑』(日系移民資料集 第ⅲ期)の統一タイトルの下に2001年から2002年にかけて日本図書センターから復刻された(全12巻セット)。同センターには敬意を表するものである。なお、最終巻は「産業号」であって、常識でいう「北米年鑑」の内容にはなっていない。加えて、附録の住所録も分離された。従って、同社の『日米住所録』の1919年版がより一層「年鑑」(Year Book or Almanac)的な内容となっているようである(未確認・不発かもしれぬ・調査要)。

幸い、私共は1922年の同社の最大出版事業の成果『在米日本人人名辞典』を本シリーズ北米編7として復刻することが出来た。約750頁のこの大作は、『日米新聞』の定期購読者台帳も活用したものと察せられ、正確にして空前絶後、合衆国全土・英領加奈陀・墨西哥居住者をも掲載者分布範囲とした。

『日米年鑑』は詳しく見てゆくと、住所録の表記も一様ではなかった。第5号では「在米国日本人住所姓名録」<国を追加>となっており、第6号には「住所録」の附録はない。第11号は「加州在住日本人農業者姓名録」(1914年12月調査)となっている。第2号から英文書名 The Japanese American Year Book が付き、各号1頁には「日米社発行」ともある。同じように、新聞も『日米』とも『日米新聞』とも云われる。その英文紙名は一貫してThe Japanese Americanであった。

hawai20

【文生書院:復刻版『初期在北米日本人の記録』に収録されています】

ISBN978-4-89253-395-2

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