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布哇(ハワイ)貴重資料解説(12) 『ハワイの印象』

2012年08月24日 · コメント(0) · 出版物, 古書

英文書名:Impression of Hawaii

[曉鳥敏/著]

表紙が美しい。この表装は著者自身も大いに気に入ったもので、作画者を明かせば、本野精吾画伯(京都高等工芸学校教授)ということになる。同全集ではこの美術感覚が全く掴めない。巻頭に杖姿の著者と武雄の肖像写真(ホノルル・昭和8年4月5 日撮影)を掲げる。ややくどいが暁烏敏は、「あけからす・はや」と読むべし。

著者の布哇渡航歴は、昭和4(1929)年4月12日横浜出帆、21日布哇到着、5月18日にカリフォルニアに向かっている。これが第一回目の旅である。第二回目は、昭和8(1933)年の2月1日に横浜をたって、9日にホノルル到着、4月18日にホノルルをたって27日に横浜に帰った旅である。この二つの旅から軽快な『ハワイの印象』が生れた。強いて云うなら、著者の息子の武雄がハワイのヒロ市の東本願寺開教使として赴任した際の、餞別記念出版であった。実際には出版が遅延したため、息子に持参させることは出来なかった、という。

さて、本書の内容の形式は、講演録、論文、詩歌、紀行記(主として航海録)となっていて、完全に読者を作者の相に誘ってくれる。ユニークな高僧の語りである。論文の中には、「二重国籍問題」、「アメリカ人とは誰か」、「ボストンとニューヨーク」を再録、その眼識の広さと深さを吐露したものだ。原則的に執筆年月日が入っており、各点の具体的な時局性・情報性も極めて高い。克明なメモを頼りに文章化したものと察せられる。

巻末には「暁烏敏主要著作目録」があって、彼の文章力と発想の豊かさ・執筆分量を如実に示している。石川県の住民で、出版社の香草舎も彼の経営するものであった。なお、この著者には自身のパンフレット・シリーズの中に『アメリカの印象』もあるので付言しておきたい。

〔文生書院ホームページに目次を公開中(PDF)〕

http://www.bunsei.co.jp/pdf/i2_h11.pdf

hawai12

 

【文生書院:復刻版『初期在北米日本人の記録』に収録されています】

ISBN978-4-89253-338-9

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