本郷村だより

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Fore-Edge Painting ① 小口装飾の周辺について

2011年06月06日 · コメント(0) · 出版物, 古書, 復刻版, 新刊, 洋古書

本が書店の棚に並び、平台に積み上げられた時、本の一番目立つ場所はカバーの背であり、表カバーと裏カバーの3面である事に間違いはない。カバーがあれば、その中の本の背、表表紙と裏表紙は大概質素な装丁が普通になり堅牢さを主眼に置いたものになりがちである。更に目立たせるためにカバーの上に腰巻を付けて、本の簡略な内容をアピールすることも常態化している。

その本が買われると、カバーは剥がされてしまう場合が多い。特に図書館では装備と言う独特の作業を通して、図書館の保存管理に一番好都合な物へ変身してしまう。そこでは、本が物として存在する事よりも、本の主眼である内容だけが強調されてしまう結果となる。実際、古書店では装備された図書館の払い下げ本を、リセール可能な商品として見ることは少ないのが実情である。この様に内容だけを重視すれば、電子図書になっても何ら変わることが無いと言う主張に異議を唱えることが難しくなる。そして本が本として存在し続ける理由がより希薄になると思われる。更に、電子図書化されて、強力な検索機能が付加されれば、今までの本は邪魔なだけの存在になり下がるかも知れない。

本として今まで利用されなかった残りの3面、つまり天地と小口の3面は利用されるべく残った部分であり、それを如何に利用し、より本を物として存在させるために、物として残そうとする努力は必要な事だと思う。今まで色々な形で工夫がなされてきたが、それは絶対に主流になりえず、試みだけで終わっていたのが実情だと思う。

小口装飾 A) マーブル装飾

大阪平野区 大光製作所 の下記のHPより引用

http://www.youtube.com/watch?v=FSv4EaTB_yU&feature=youtu.be

マーブル01    マーブル02

欧米を中心にして、見返しの用紙として綺麗なマーブル紙が使用さている。それを小口装飾に利用したものです。

 

小口装飾 B) 小口印刷

『本づくりの匠たち』 企画・編集=津田淳子 2011/05/25 150p.

グラフィック社 ISBN978-4-7661-2241-1

56-66p. 小口印刷 = 図書製本株式会社 より引用

スタンプの様な用具を使用して印刷

小口印刷

 

小口装飾 C-1)

『眼の冒険』 : デザインの道具箱 / 松田行正著 
紀伊國屋書店, 2005.4 326p ; 20cm
ISBN4-314-00982-9
目の冒険-表紙IMG_0753  目の冒険-小口からIMG_0754  目の冒険-内側01IMG_0757 

目の冒険-小口01IMG_0755  目の冒険-小口02IMG_0756

各ページの小口側に細く印刷を施し、小口を装飾している。

 

 

小口装飾 C-2)

『挑発する知』 : 国家、思想、そして知識を考える / 姜尚中, 宮台真司著
東京 : 双風舎, 2003.11 ISBN:9784902465006

挑発する知-表紙IMG_0749 挑発する知-小口からIMG_0750 挑発する知-内側IMG_0751

挑発する知-姜02IMG_0746 挑発する知-宮台02IMG_0748

この本も、C-1)と同様に、小口側の面に印刷して、小口を斜めにすると姜尚中さんと

宮台真司さんの写真が鮮明に現れる。但し、正面で普通に置いても写真が出てしまう。

32頁の台毎に、多少の誤差が出てしまい。多少のずれが上下に生じている。

(上記の台は、英国でFore-Edge Paintingを描く時に使用される台)

 

 

小口装飾 C-3)

『全宇宙誌』 / 松岡正剛 [ほか] 編 Summa cosmographica
東京 : 工作舎, 1979.10  378p ; 27cm ISBN:1040-1031-2435
その他の編集者: 高橋秀元, 十川治江, 松本淑子, 田辺澄江 ; 全宇宙
「年譜--文献録」: 巻末折り込み アートディレクション=杉浦康平

全宇宙誌-表紙IMG_0758 全宇宙誌-カバーなしIMG_0759

左側は印刷されたプラスティックカバーあり、右図はそれが無い状態

全宇宙誌-目次01IMG_0761

黒を基調とした中に、銀色で印刷された「年譜・文献録」。

 全宇宙誌ー内側全体IMG_0770 全宇宙誌ー内側ー印刷IMG_0769

印刷方法は、C-1)やC-2)と同様で、小口側に小口絵に出る部分を印刷。

 

IMG_0766

全宇宙誌-小口01IMG_0765

見返しに配置した夜空の星座群の中に左右で違う小口の絵が現れ、得も言われぬ雰囲気を醸し出している。本当に素晴らしいデザイン。これぞ題名にふさわしい一体化されたデザインの極み。更に、小口を普通に置いた状態でも、小口に多少の像が残るが、表裏紙との一連のデザインの中でそれ程気にならない。但し、黒を基調として白抜きの印刷は、本を読むためには疲れを伴ってしまう。

1979年の初刷りから、5刷(1986)、更に6刷(1988年)が散見される。最初の定価は¥5,000との情報があるが、6刷までで何部発行されたのか不明。但し復刻希望者が多く存在している。因みに、古書店では品質にもよるが¥30,000-¥60,000の価格で売り出されている [弊社ではこの写真に撮りました商品を¥45,000で販売中です]。定価からの比較では少なくとも発行時の6倍以上の価格になっている。リヴァリューする事が古書店の仕事であるとするならば、古本屋の見たこの本の価値は相当高い評価だと思われる。

これこそ、電子書籍では不可能な領域の作品ではないでしょうか!全体のデザインの力が主な原因と思いますが、小口装飾を利用することによって、更に数段違う世界を演出出来たと思います。

 

そこで是非 Fore-Edge Painting の絵をご高覧下さい。

http://www.bunsei.co.jp/ja/selected-books/ecollection/690-fore-edge-painting-.html

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