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「小口絵の世界へ」展・講演会

2012年03月25日 · コメント(1) · その他, 古書, 洋古書

An Exhibition of 108 Fore-Edge

Painting Books    ([小口絵の世界へ]展)

日時 : 2012年1月27日(金) 28日(土) 29日(日) 10:00~17:00
場所 : 東京古書会館  東京都千代田区神田小川町3-22  2階情報コーナー

一日目: 「タイトルから小口絵へ   

- 書物の前小口の機能について-

高宮利行氏 (慶應義塾大学名誉教授 英文学者)のご講演内容

Fore Edge Paintingが生まれるまでのヨーロッパにおける図書の歴史について。 

 

“小口絵本のすばらしさは、本を手に取って開いたときの驚きに尽きます。

手書きの小口絵の実物は、今回の展覧会ではじめて見ましたので大変新鮮

でしたが、やはり高価な本ですので、実際に本を手にとって開いてみることが

できなかったのが少し残念でした。むしろ、小口絵の歴史を語ってくださった

高宮先生が実演して見せてくれたのには感動いたしました。とはゆえ、

わたしは印刷で小口絵を試みていますが、この展覧会を観て、手書きの

再現性の高さを印刷でめざしたくなりました。”

松田行正(グラフィック・デザイナー)

 

二日目【鼎談会 「本が本であるために」】 

奥定泰之氏 (グラフィック・デザイナー) 

● 僕はグラフィックデザインをやる傍ら学校でも教えていて、授業の中で様々な課題を与えるのですが、「ギリギリの本を作ろう」というテーマは必ず出します。

● 今回のテーマについて僕は全く答えを用意していませんが、2009年に『JOHNNY TOO BAD内田裕也』という僕なりのギリギリの本を作りました。

● 僕は電子書籍を作ったことがあって、ある本をiPhoneアプリにしたいと言われた。それで出版社の人に「儲けはあるんですか?」と聞いたら全くないと。

● 去年ペーパーショウで色々な人が選んだ本が展示されていて、松岡正剛さんが持ってきたある詩集に絵が描き込まれていたんです。それは学ぶためのものではなく、落書きのような、本を堪能して思わず書いてしまったような印象を受けました。

津田淳子氏 (グラフィック社『デザインのひきだし』編集長)、

● 印刷や加工のことばかり追いかける本を作っているので、そういうものであれば何でも好きなんでしょと言われます。でも私が良いと思うのは、あくまでその技術が必要だから・その本をより良くするためということがちゃんと意識されている場合です

● ちなみに私はアドニスラフという紙が好きなんですけど、松のいい匂いがするんですよ。普通は読んでるときに匂いをかいだりしないでしょうけど、でも実は無意識に記憶していて、本に対するイメージを左右しているのかもしれません。

● 私も紙の本が好きなので、ここ十年はもう電子はやめようという立場で出版業界に身を置いていますが、洋書だと楽しむための本であってもあっと言う間に電子化され、それが受け入れられるのに、日本だとなぜそうならないのか、色々と考えてみてもわからないんです。—— この先日本人だけか電子書籍に抵抗感を持ち続けることになるかどうかはわかりません。

● 私は日本人が本という形にこだわっていると感じる大きな理由は、他の国に比べて紙の種類が圧倒的に多いからです。特殊紙と呼ばれているものだけでも八千以上あって、本を作るときにこれほど紙を選ぶ国はありません。

長村玄氏 (元大日本スクリーン・各種コンサルタント・活字研究家)

● 津田さんが先程言われましたが、電子書籍が現在のように紙の本のメタファーを追求しても絶対に凌駕することはあり得ませんよね。その存在価値は、あくまで紙の本では絶対にできないことにかかってくる。単に文字を読み進めていくだけなら何の有用性もないでしょう。

● わざわざ分類する必要はないですが、大ざっぱに「楽しむため」と「知るため」の本があると思います。教科書とか辞典は後者ですが、そういう類のものはかなり電子化が進んでいる。今から五十年前に父親が買ってくれたブリタニカは、初任給が三万円の時代に三十万円もしたんです。そのうちCD-ROMが出てそれも初めはかなり高額でしたが、どんどん安くなりやがて無くなってしまった。

● 私が聞いた話だと、今の学生さんは上製本が怖いって言うらしいんですよ。値段もあるんでしょうけど、敷居が高いというか、圧迫感があって手に取れないと。

● 七年程前から小沼さんと企画を進めていた『日露戦争PHOTOクロニクル』が昨年末に刊行されました。装丁は奥定さんにお願いしました。打ち合わせのときはいつも「新しいことをしたいよね」と話していたのですが、今回の展示のことを聞き、現代の印刷技術でFore-Edge-Paintingができたら面白いんじゃないかと盛り上がったんです。それで色々な人に声をかけ知恵を借り、日本に一台しかない特殊な印刷機を使って『日露戦争PHOTOクロニクル』にFore-Edge-Printingを施しました。文生書院さんから豪華特装版として200部限定で出版されることになりましたが、ただその印刷機であればどんなものでもできるわけではなく、この本にあったアタッチメントを試行錯誤した上でどうにか成功しました。

  

三日目: 「古書店も新刊書店も『本屋』である』

石橋毅史(ジャーナリスト:「『本屋』は死なない」の著者のご講演内容

書店の存在意義・そこで働く人達の生きざま等々について。

 

以上三講演会の写真は弊社ホームページに掲載されております。

是非ご高覧下さい。

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